インデックス投資で長期航海

インデックス投資を中心とした投資ブログ。30代の会社員が資産形成、お金、教育について語ります。

IMG_0305
『全面改訂 ほったらかし投資術』に引き続き、中野晴啓さんの『投資バカ』を読みました。

概要

投資バカ : 賢い人は金融機関を信じない / 中野晴啓.
東京 : 朝日新聞出版, 2015.7.  205p : 18cm.

著者の中野さんは、セゾン投信株式会社の代表取締役社長です。

目次は、次のとおりです。

  • 序章 肉食投資は儲からない
  • 第1章 どうして短期トレードはダメなのか
  • 第2章 ゼロサムゲームのFXでは資産を築けない
  • 第3章 株式の個別銘柄投資なんて止めましょう
  • 第4章 投資信託の「仕掛け」に騙されてはいけない
  • 第5章 この金融機関で投資信託を買ってはいけない
  • 第6章 使えないETFにご用心
  • 第7章 これがNISAの落とし穴
  • 第8章 「新興国投資は長期で」のウソ
  • 第9章 保険は運用商品にならない
  • 第10章 こんな投資話に騙されるな
  • 終章 投資バカにならないために

「投資バカ」とは?

「投資バカ」とは、次のような人たちのことを言うそうです。

  • 金融知識を持たず、また持とうという努力もせずに、金融機関のいいなりになって、「とんでも投資商品」を買わされている人たち
  • 企業に投資するのではなく、株価の値動きに投資するような、ギャンブル投資で資産を形成しようと考えている人たち

(27-28ページより)

本のタイトルにもなっている「投資バカ」は、中野さんが以前書かれた『預金バカ』という本に対応しているようです。なかなかドギツいタイトルですが、中身は個人が資産を形成するための注意点が書かれています。以下は、印象に残ったポイントと感想です。

株式の個別銘柄投資について

中野さんは、下記の点から株式の個別銘柄投資は、個人投資家の資産形成に向かないことを指摘されています。

  • 個別銘柄投資をするために必要な企業分析は、個人投資家にとってハードルが高いこと
  • 「個人投資家」と「プロの投資家」の情報格差が、絶望的な程に大きいこと
  • 「自分の好きな企業に投資する」という基準だけでは、投資判断を誤らせる可能性があること
  • 資金力に乏しい個人投資家にとって、分散投資(最低でも20銘柄程度)が難しいこと

(64-79ページより)

その上で、投資信託を活用した投資を推奨されています。中野さんの立場を考えると、少々ポジショントークと感じることもあるのですが、全体的な指摘については、納得できる内容でした。

私は数銘柄ですが、個別銘柄を保有しています。確かに、中野さんが仰るとおり、個人投資家にとって個別銘柄投資は難しいかもしれません。少なくとも私には、儲かる銘柄を見分ける力はありませんし・・・

株主優待を目当てに保有しているのですが、「その企業が好き」という理由だけで持ち続けることがないように、気をつけたいと思いました。今後は、インデックスファンドの比率を高めることで、分散投資を進めるつもりです。

ETFについて

中野さんは、出来高が少ないETFが散見されることに対して、次のように指摘されていました。

結局のところ出来高の少ないETFが、このようにいくつも散見されるのは、ひとえに証券会社がETFの流通市場を育てようとしていないからでもあります。もっとETFの利点をアピールし、売買する投資家が増えれば、流動性の問題は徐々に解決するはずです。

(130ページより引用)

ここ最近、あるETFに興味を持ち、調べていたのですが、気になっていた点がまさに流動性でした。そのETFは、出来高が安定しておらず、少ない時は2口の出来高しかないことも。原則、バイ・アンド・ホールド戦略ですが、不測の事態が起きた時などに、現金化しづらいと困ってしまいます。

中野さんが仰るように、今後、ETFの市場が拡大し、私たち個人投資家にとっても使いやすい商品になることを願っています。

新興国投資について

「今の新興国は、日本の高度経済成長期に該当する」というロジックで、販売金融機関が新興国投資を勧めがちだ、と述べた上で、新興国が先進国になるための要素として、次の4点を挙げていました。

  1. 教育水準が高いこと
  2. 民族紛争がないこと
  3. 格差が一定範囲内に収まっていること
  4. 民主主義が確立されていること

(157ページより)

上記の4点を考えると、「今の新興国は、必ずしも日本の高度成長期に合致しない」との指摘です。この指摘は、とても興味深いものでした。世界的な分散投資を行うためには、新興国を無視するわけにはいきませんが、過度に期待せず、ほどほどのウェイトにしたほうがいいのかな、と思いました。

まとめ

初めて中野さんの著作を読みましたが、分かりやすい記述で、勉強になることも多くありました。他の著作も読んでみようと思います。ただ、やっぱりタイトルが煽り過ぎかな・・・(最近の新書全体に言えることですが)

IMG_0291
投資家の皆さんにはお馴染みの東京証券取引所を見学してきました。

東京証券取引所とは

日本最大の証券取引所で、株券等の有価証券が取引されています。ニューヨーク証券取引所、ロンドン証券取引所と並んで「世界三大市場」のひとつに数えられているそうです。東証の株式市場としては、一部、二部、そして新興企業向けのマザーズ、JASDAQがあり、3,521社が上場しています(2016.5.2現在)

2013年1月に、大阪証券取引所と経営統合し、「株式会社日本取引所グループ」が運営を行っています。ちなみに、日本取引所グループ(8697)自身も、東証一部に上場しているため、東証の株主になることが可能です。

見学について

見学施設の「東証Arrows」は、見学時間内であれば、誰でも見学することができます。私の他にも、就職活動中の学生さんや外国人の方が見学されていました。

IMG_0293
見学者用の入り口は、正面横の西口です。ゲート型の金属探知機で、手荷物検査を受け、簡単な受付を済ませると、見学スタートです。
IMG_0298
ニュースや経済番組でよく見る風景ですね。円形の電光掲示板は「チッカー」と呼ばれているそうです。取引が成立した順に株価が表示され、ぐるぐると回っています。株価が表示される速度は8段階あり、売買の活発度によって、速度が変わるとのこと。
IMG_0294
こちらの電光掲示板もよく見かけますよね。この電光掲示板には、各種指標や個別銘柄の株価が表示されていました。残念なことに、本日は値下がりした銘柄が多かったようです。

写真はありませんが、他にも「株式投資体験コーナー」や「証券史料ホール」等があり、結構楽しむことができました。JPXのロゴが入ったポロシャツやボールペン等がお土産として売られていました笑

個人投資家ならぜひ見学を!

個別株式への投資をしない方でも日経平均やTOPIXの算出で、東証は欠かすことができない存在です。日本経済の動きを体感できる場所なので、ぜひ一度見学されてはいかがでしょうか。

見学時間等の詳細は、下記の日本取引所グループのサイトでご確認ください。

東証Arrows見学について

ほったらかし投資術
ゴールデンウィークの休みを利用し、『全面改訂 ほったらかし投資術』を再読しました。

概要

全面改訂ほったからし投資術 : インデックス運用実践ガイド / 山崎元, 水瀬ケンイチ.
東京 : 朝日新聞出版, 2015.6.  239p : 18cm.




経済評論家の山崎元さんと有名ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」の管理人である水瀬ケンイチさんの2人によるインデックス投資の入門書です。

目次は、次のとおりです。
  • 序章 人はどのようにしてインデックス投資家になるか : 水瀬ケンイチの投資遍歴
  • 第1章 さっそく、始めてみよう! : インデックス投資の正しい手順ガイド
  • 第2章 一歩先行くあなたへ : インデックス投資説明編
  • 第3章 商品ガイド編 : インデックスファンド、ETFの「ミナセ・シュラン」
  • 第4章 マニア向けの特別付録 ETF運用の現場を知りたい! : 日興アセットマネジメントETFセンター長・今井幸英さんに聞く

インデックス投資の正しい手順ガイド(第1章)

第1章では、インデックス投資を始めるための手順が紹介されています。

筆者らが紹介する手順は、次のとおりです。
  1. 家計の状態を把握する
  2. 資産配分(アセットアロケーション)を決める
  3. アセットクラスごとにベストな商品を選ぶ
  4. 商品を売買する金融機関を決める
  5. DC(確定拠出年金)、NISA(少額投資非課税制度)を最大限に利用する
  6. モニタリングとメンテナンス
(30-31ページより引用)
細かな点については、お二人の意見が異なる部分もあるようで、両者の意見がそれぞれ併記されています。お二人の意見のうち、どちらを参考にするかについては、自身の状況を踏まえながら、取捨選択すればよいでしょう。

ちなみに私は、生活防衛資金の金額については水瀬派(= 生活費の2年分程度の確保が必要)、リバランスの方法については山崎派(= ノーセル・リバランスを時期に関係なく実施)でした。

インデックス投資を続けるための秘訣(第2章)

第2章では、インデックス運用の利点および欠点について整理した上で、インデックスファンド、ETFを選ぶためのポイント、運用中の心構えなどが説明されています。

お二人が説明するインデックスファンド、ETFの選択ポイントは、次の4点。
  1. 信託報酬・実質コストができるだけ低い商品(低ければ低いほどよい)
  2. 純資産額が大きい商品(少なくとも100億円以上欲しい)
  3. 不安定な要素ができるだけない商品(市場価格と基準価額の乖離や、繰上償還の可能性は小さいほどよい)
  4. 利便性が高い商品(少額から購入できる、分配金再投資が自動でできる、積立投資が自動でできるなど)
(139ページより引用)
この4点を意識すれば、今後新たな商品がでてきても、「投資すべき商品かどうか」について、自分で判断できそうです。

特に、第2章の「ほったらかし」にするためのテクニック集は、とても参考になります。

また、インデックス投資の出口戦略ですが、「リタイア直後に暴落したらどうするのか」や「定額解約がいいのか、定率解約がいいのか」といった疑問に対する考え方のヒントが書かれており、将来の売り方を再考するきっかけになりました。

最後に「インデックス派VS.アクティブ派「神学論争」でのふるまい方」として、無用な争いを避けるための振る舞い方が紹介されています。投資スタイルは、人それぞれのため、他の投資スタイルを無闇に批判することは気をつけたいと思いました。

具体的な商品ガイドとETF運用の現場について(第3章、第4章)

第3章では、投資候補商品として、具体的なインデックスファンド、ETFが紹介されています。これからインデックス投資を始める方にとっては、商品選びの参考になるのではないでしょうか。第4章のETF運用の現場についてのインタビューは、難しい部分もありますが、勉強になります。

入門書として最適の一冊

インデックス投資を始めたい方や既に実践している方にもオススメの一冊です。私自身、時々再読していきたいと思っています。

【関連記事】インデックス投資家必見の一冊。『お金は寝かせて増やしなさい』

001
そろそろ新入社員の皆さんも初任給を貰う時期なのではないでしょうか。社会人歴7年になってしまった私も当時の初心を思い出すために、当時の資産を振り返ってみました。

基本給

  • 新入社員時代 100(初任給を100としています)
  • 現在 126

ありがたいことに、少しづつではありますが、毎年昇給することができています。

個人資産のアセットアロケーション

新入社員時代(2010年4月)

  • 現金 4%
  • 普通預金 66%
  • 定期預金 17%
  • 外貨預金 8%
  • MRF 1%
  • 国内株式 4%

現在(2016年4月)

  • 現金 1%
  • 普通預金 11%
  • 定期預金 43%
  • 国内債券 15%
  • 国内株式 18%
  • 先進国株式 9%
  • 新興国株式 3%

上記は、生活防衛資金や運用資産といった諸々の資産を加えた個人資産全体のアセットアロケーションです。すっかり忘れていましたが、昔は外貨預金をやっていました。最終的にはプラスで撤退することができましたが、今考えると、なんとも残念な投資です。

当時は、結婚資金を貯めることを優先していたため、普通預金や定期預金の比率が高めです。また、新入社員時代は、国内株式の個別銘柄のみで、インデックスファンドへの投資は行っていませんでした。もっと早くからインデックス投資を始めていれば・・・

まとめ

改めて、当時を振り返ってみると、外貨預金を利用していたり、生活防衛資金を1ヵ月分しか確保できていなかったりと、全般的に金融リテラシーが低いですね・・・当時に比べると、少しはマシになったかもしれませんが、これからも勉強を続けながら、投資を実践していきたいと思います。

最後に、有名ブロガーの水瀬さんが新入社員向けの記事を書かれていますので、ご紹介します。7年目の私が読んでも参考になる記事なので、ぜひご一読を!

新入社員の皆さんへ、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーからのメッセージ(2016年版)|梅屋敷商店街のランダムウォーカー

cashbox-1642988_640
2016年4月分として、次のファンドを積立投資しました。

・普通預金(「国内債券」とみなしています)
・<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド
・<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
・野村インデックスファンド・新興国株式


先日ご紹介したSBI証券のキャンペーンに応募するため、上記のうち「ニッセイTOPIXインデックスファンド」と「ニッセイ外国株式インデックスファンド」の一部は、自動積立サービスを利用しました。加えて、手動でも積立投資を行っています。

毎月、コツコツと積み立てていき、運用資産を拡大していつもりです。


参考:SBI証券の投信積立キャンペーンに参加

↑このページのトップヘ