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人口減少に関する2冊の本を読みました。どちらも読んだ感想は、絶望です。

概要

1冊目:『未来の年表』

未来の年表 : 人口減少日本でこれから起きること / 河合雅司.
東京 : 講談社, 2017.6. 206p : 18cm.

1冊目は、河合雅司さんが書かれた『未来の年表 : 人口減少日本でこれから起きること』。

本書は、人口政策、社会保障政策を専門とする河合さんが、さまざまな統計データを用いて、これから人口が減少する日本の未来予想図を、年表形式でまとめた本です。

「2018年 国立大学が倒産の危機へ」という直近の予想から、「2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる」「2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に」といった中長期の未来予測までが紹介されています。

2冊目:『縮小するニッポン』

縮小ニッポンの衝撃 / NHKスペシャル取材班.
東京 : 講談社, 2017.7. 198p : 18cm.

2冊目は、2016年9月25日に放送された番組をもとにした『縮小ニッポンの衝撃』です。

こちらの本では、NHK番組スタッフの取材を通して、日本で唯一、財政再生団体になった北海道・夕張市、「消滅可能性都市」のひとつにあげられた東京都・豊島区、過疎化が進む島根県・雲南市などの取り組みが紹介されています。

縮小する日本:「当たり前の日常」が崩れていく社会

2冊の本が提示する日本の未来像は、悲観的です。簡単にご紹介すると

  • 東京オリンピックを開催する2020年には、女性の2人に1人が50歳以上になる
  • 地方から人を集めてきた東京も、2025年には人口が減少する
  • 大都市に住む高齢者が増加することで、輸血用血液や火葬場が不足する
  • 人口減少の結果、税収が不足。当たり前と思っていた公共サービスが受けられなくなる

夏に帰省したとき、私の地元でも、「小中学校のクラス数が減っている」、「お墓を受け継ぐ人がいないため、墓じまいをする人が増えている」など、段々と縮小していく様子を、見聞きしました(帰省の直前に読んでいたため、いつも以上に気になっただけかもしれませんが)。

2冊を読むまで、「人口減少の問題は、地方だけの問題。大都市圏は関係ない」と思い込んでいましたが、間違っていたようです。

『未来の年表』は統計データの分析から、『縮小ニッポンの衝撃』は全国各地の取材結果から、人口減少の問題が、日本全体に影響を及ぼす問題であることを教えてくれます。

両書が予測するように、近い将来、日本全体で人口が減少し、当たり前だと思っている日常が崩れていくのだとしたら・・・空恐ろしささえ感じてしまいました。

2冊の本を読んで考えたこと

経済的基盤の確立が必要

両書が予測する日本の将来は、「当たり前と思っていた公共サービスが受けられなくなるかもしれない」、「社会を維持していくためには、人々の負担が増えるかもしれない」というものです。

公共サービスに期待できないのであれば、自分の力でやっていくしかありません。将来に向けて、経済的基盤の確立を目指す必要があると感じました。

国際分散投資が大切

今後の政策によって、進み方の度合いは変わるかもしれませんが、長期的には、人口減少は避けられないようです。

日本の人口が減少するなかで、生産性の向上などが進まないとしたら、日本の経済的な存在感も低下していくかもしれません。そのときの保険として、国外の資産にも投資を続け、リスクを分散していきます

自分にできることをやっていきたい

『縮小ニッポンの衝撃』で紹介されていた事例は、衝撃的なものばかりでした。

なかでも、「耐震化工事のための財源がないため、全国の幼稚園・保育園の約2割は耐震基準を満たしていない」、「財源の余裕によって、耐震基準を満たしているかどうかの自治体間格差が生じている」との指摘には考えさせられました。

ふるさと納税や寄付によって、少しでも力になれるのであれば、できることから協力していきたいと思っています。

おわりに

両書で指摘されているように、今、私たちがすべきことは、現実をしっかりと直視し、問題を先送りにしないことです。

日本の現状を把握するためにも、できるだけ多くの人たちに手にとって欲しい2冊です。




縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)
NHKスペシャル取材班
講談社
2017-07-19