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二宮敦人さんの『最後の秘境 東京藝大 : 天才たちのカオスな日常』を読みました。
(インデックス投資とは関係ない話題です。ご興味がある方のみご覧下さい)

ほぼ毎年のように卒展を見に行っているためか、母校でもないし、知り合いがいるわけでもないのに、東京藝大に対して、妙な親近感を持っています。加えて、美大を舞台にした漫画『ハチミツとクローバー』が好きなこともあり、電車の中吊り広告で宣伝されていた本書を手に取ってみました。

概要

最後の秘境 東京藝大 : 天才たちのカオスな日常 / 二宮敦人.
東京 : 新潮社, 2016.9.  286p : 20cm.

著者の二宮敦人さんは、普段、ホラー小説やエンタメ小説を書いている方らしいのですが、現役の藝大生である奥様をきっかけに、ユニークな存在「東京藝大」に興味を持ち、初のノンフィクション作品として、本書を執筆されました。

本書では、各学科に所属する学生たちのインタビューを通して、東京藝大に所属する人々の日常が紹介されています。


東京藝術大学とは?

  • 美術学部("美校")」と「音楽学部("音校")」の2学部からなる芸術系大学
  • 芸術界の東大」と呼ばれることもある
  • 入学試験は狭き門。二浪、三浪なんて当たり前といった厳しい世界
  • 卒業生のおよそ半分は行方不明に・・・

本書でインタビューを受けている学生たちも変わっていて、口笛の世界チャンピオン、自宅の中で雨を降らせた学生などが紹介されています。


入学試験は「ハンター試験」?

個人的に印象に残ったのは、入学試験のエピソードでした。

東京藝大は難関校で、特に美校の場合、現役合格率は約二割。多浪生も多いようです。入学試験の内容は、学科によって、センター試験の重要度が異なるものの、どちらかというと実技試験の方が重視されています。その実技試験の内容がとてもユニークなんです。
  • 「全音符の書き順」を問う問題
  • 初見の楽譜が与えられ、その場で歌う試験
  • 楽譜の冒頭だけが与えられて、その続きを作曲する試験
  • 「人を描きなさい。(時間:二日間)」(「二時間」ではなく、「二日間」!!)
  • 自分の仮面を作り、それを装着した時のつぶやきを100字以内で答える問題

普通の大学試験では見かけないような、人間性や価値観を問われるような問題が多いとのこと。

また、油画科の場合、そのイメージとは異なり、体力勝負な面があるそうです。実技試験に必要な画材が多く、どうしても荷物が多くなってしまうため、集合場所から試験会場に誘導する試験監督についていくのは、一苦労。一部では、「ハンター試験」と呼ばれているそうです。


何かを極めた、極めようとしている人たちの話は面白い!

他にも、本書では次のようなエピソードが紹介されていました。

  • 美校と音校のカルチャーの違い
  • 各学科の特徴、所属する人々の個性の違い
  • 芸術に対する向き合い方
  • 恋愛と芸術
  • 「古典」と「新しい芸術」への挑戦

もちろん副題のとおり、カオスなエピソードが満載ですが、なかには恋愛や就職のことで悩む姿なども紹介されていて、天才たちの「非日常性」と「日常性」を垣間見ることができました。

また、この本を読んで感じたのは、「何かを極めた、もしくは極めようとしている人たちの話は面白い!」ということでした。私たち凡人から見ると、少し変わった人たちに見えますが、特定の分野を極めた人たちの言葉や行動には、人を惹きつける何かがあると感じました。

本書は、東京藝大を志望する受験生やその家族にとっては「大学案内」になりますし、これまで「藝大」についてよく知らなかった人にとっては「藝大入門書」もしくは「芸術入門書」になる一冊だと思います。