ゴールデンウィークの休みを利用して、積読状態になっていた『職場の問題地図 : 「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方』(技術評論社, 2016.10)を読みました。
概要
職場の問題地図 : 「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方 / 沢渡あまね.東京 : 技術評論社, 2016.10. 221p : 19cm.
著者の沢渡あまねさんは、日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社などを経て、あまねキャリア工房を設立。現在は、複数の企業で「働き方見直しプロジェクト」などのファシリテーター・アドバイザーとして、活躍されている方です。
本書の目次は、次のとおりです。
- はじめに なぜ、日本の職場の生産性はいつまでたっても低いままなのか?
- 1丁目 手戻りが多い
- 2丁目 上司・部下の意識がズレてる
- 3丁目 報連相ができていない
- 4丁目 ムダな会議が多い
- 5丁目 仕事の所要時間を見積もれない
- 6丁目 属人化
- 7丁目 過剰サービス
- 8丁目 「何を」「どこまでやればいいのか」が曖昧
- 9丁目 仕事をしない人がいる
- 10丁目 だれが何をやっているのかわからない
- 11丁目 実態が上司や経営層に伝わっていない
- おわりに
「制度」「プロセス」「個人スキル」「場」の4つの観点から見直そう
本書の目次を見た時、うちの職場のことが書かれているんじゃないかと思いました。私の職種は専門職とみなされており、他の課との人事交流が少ない職場です。人事異動が少ないと、専門職としてキャリアを磨くことができるというメリットがある一方で、どうしても仕事が属人化しがちです。
加えて、業務量は増えているのに、人員補充がままならないため、年々負担が増えています。その結果、時間外労働の増加 → 退職者が発生 → 更に負担が増える → 時間外労働の増加といった悪循環が起きています。
最近では、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、官民を挙げて様々な取り組みが行われていますが、まだまだ「忙しくて休めない」「時間外労働が多い」というのが実態ではないでしょうか。
本書では、「制度」「プロセス」「個人スキル」「場」の4つの観点から、職場の問題点を洗い出し、解決策を提示しています。重要なポイントは、フローチャートやイラストで図示化されているため、さくっと読み進めることができるのも本書の特徴です。
5つの要素で仕事をとらえる
本書では、「仕事」を5つの要素に分解して、定義しています。「仕事がうまく回らない」「職場に問題がある」という状態は、上記の5つの要素のいずれかに問題があるとのこと。
- 目的
- インプット
- 成果物
- 関係者
- 効率
(34-35ページより)
この5要素はシンプルな図にまとめられており、職場の問題点を特定する「肝」として、繰り返し登場します。
働き方改革のTips
本書が提示する改善策の中には、日常の心がけレベルから上司や経営層にしか取り組めないレベルのものまでありました。下記に挙げたものは、平社員の私でも取り組めそうな改善策。備忘録として、残しておきたいと思います。- 仕事の早い段階で、成果物のイメージを「ポンチ絵」で確認しておく
- 「無駄な会議」「会議の無駄」を減らすために、「会議の目的(種類)とアウトプット」「出席者選び」「議事録を取りやすい発言」「3本締め(決定事項・宿題事項・次回予告)」の4点を意識する
- 「野生のカン」に頼るのではなく、業務プロセスを意識する
- 属人化は避けられない。ただし、悪い属人化(=あたり前の仕事が特定の人しかできない状態)は減らす
- 結果に加えて、プロセスを報告する