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星野泰平さんの『半値になっても儲かる「つみたて投資」』を読みました。

概要

半値になっても儲かる「つみたて投資」 / 星野泰平.
東京 : 講談社, 2010.12.  204p : 18cm.

目次は、次のとおりです。

  • プロローグ 「安く買って高く売る」に縛られすぎた日本人
  • 第1章 「値下がり安心」効果 : どんなに下がっても安心
  • 第2章 「スピード回復」効果 : 損から素早く回復する
  • 第3章 「リバウンド」効果 : 下がった後に戻ればリターンが得られる
  • 第4章 「ストレス抑制」効果 : 上がっても下がってもストレスが抑えられる
  • 第5章 「タイミング・フリー」効果 : 始めるタイミングに悩まない
  • 第6章 「プロセス」効果 : 初値・終値だけでなく、経過の値動きが大切
  • 第7章 「継続」効果 : ケイゾクハチカラナリ
  • 第8章 「予測不要」効果 : 考えたってわからない
  • 第9章 何のためにつみたて投資をするのか
  • 第10章 つみたて投資研究記 : 一つの証券会社がなくなった物語
  • 終章 つみたて投資とはどういう投資か 

「つみたて投資」の効果を説いた本

この本で解説する「つみたて投資」は、預金などの「今あるお金」ではなく、お給料や不動産収入などの、これから生まれる「未来のお金」の投資方法です。この「未来のお金」の投資は、今までの投資とはまったく異なり、投資商品の成績と投資の効果が一致しないのですが、そういう特徴がほとんど解説されてきませんでした

(9-10ページより引用)

本書では、「積立投資」の特徴と効果が、「一括投資」との比較で、説明されています。ただ、注意しなければならないのは、本書が「積立投資の方が有利だ」と述べているわけではない、ということです。

積立投資の「定量価値」についても説明されていますが、どちらかというと安心感や親近感といった「定性価値」の方に重点がおかれています。

「投資の評価の公式」とその効果

投資の評価 = 口数 × 価格

(22ページより引用)

「ドル・コスト平均法」の説明の際、よく言われることですが、積立投資の場合、投資する商品が安い時にはより多くの口数を買うことができ、投資する商品が高い時には少ない口数しか買うことができません。
こうした性質から、積立投資には、次の効果があるとのことです(それぞれ章題になっています)。

  1. 「値下がり安心」効果
  2. 「スピード回復」効果
  3. 「リバウンド」効果
  4. 「ストレス抑制」効果
  5. 「タイミング・フリー」効果
  6. 「プロセス」効果
  7. 「継続」効果
  8. 「予測不要」効果


「値下がり安心」効果、「スピード回復」効果、「リバウンド」効果について知っていると、相場の急変期でも安心して投資を続けることができます。

また、本書では、「いつ投資を始めるか」というタイミングを気にしなくても良い「タイミング・フリー」効果が説明されています。

仮に、毎月の積立投資を10年間続けた場合、スタート時の価格は120分の1のインパクトしか持たないため、投資成果に与える影響はごく僅かです。そのため、「投資開始のタイミングを気にするよりは、さっさと積立投資を始めた方が得策」とのことでした。

積立投資に対して二の足を踏んでいる人にとって、「タイミングフリー」効果は、投資を始める後押しになる効果だと思います。

無税国家構想

終章の中で、資産を築いた偉人たちとして、二宮尊徳、安田善次郎、本多静六、松下幸之助の4人が紹介されています。その中でも特に、松下幸之助の無税国家構想が面白かったので、ご紹介します。松下幸之助は、著作の中で、

  1. 効率的な政治、行政をすることで、毎年の国費を節約することができる
  2. 節約した国費を積立、運用することで、運用益を得ることができる
  3. この運用益を国費に充てることで、ゆくゆくは無税国家になることができる

という無税国家構想を述べていたそうです。実現は相当困難だと思いますが、壮大で面白い構想だと思いました。

まとめ

本書は、積立投資を始めようか迷っている人にとっては、一歩を踏み出すきっかけになる図書であり、積立投資を行っている人にとっては、投資を継続するための精神的な支えになる図書であると思います。

ただ、具体的にどういった商品を選べば良いのかといった方法論は書かれていませんので、他の図書を参考にする必要があります。


参考:具体的な商品の選び方などは、下記の図書が参考になります。