インデックス投資で長期航海

インデックス投資で、国内/先進国/新興国の株式に分散投資を実践中。ブログで、投資と資産状況を公開しています。

カテゴリ: 読書記録

発売されたばかりの『毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資』(ぱる出版, 2017.7)を読みました。

概要

毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資 / 吊ら男.
東京 : ぱる出版, 2017.7. 208p : 19cm.

著者の吊ら男(つらお)さんは、人気ブログ「吊られた男の投資ブログ(インデックス投資)」の管理人で、現役のサラリーマン投資家です。本書が、初の著作になります。

本書の目次は、次のとおりです。
  • 第1章 ズボラ投資は100円からだって可能です!
  • 第2章 ズボラなあなたの代わりに世界中の人に働いてもらう
  • 第3章 なぜズボラ投資は儲かるのか?
  • 第4章 ズボラ投資家を誘惑するボッタクリ投資の見抜き方
  • 第5章 ズボラ投資でより儲けるために
発売日当日に、最寄りの書店に買いに行ったところ、同じくタイトルに「ズボラ」を含む『ズボラでも「投資」って、できますか?』(高橋忠寛著)と並べて、売られていました。



ズボラ投資 = インデックス投資

吊ら男さんが書かれた本書は、「ズボラ投資」というキーワードを使い、長期で分散投資を行うインデックス投資を勧める本になっています。

ブログでは、理詰めで論理を積み上げていく文章が持ち味になっていますが、本書は投資初心者を意識した内容になっており、分かりやすい文章で、インデックス投資のエッセンスをまとめた構成になっています。

ボッタクリ商品の避け方

本書のもうひとつの特徴が、ボッタクリ商品の避け方について、詳しく書かれている点です。

第4章では、ポンジ・スキームと呼ばれる金融詐欺、金融機関が勧めるボッタクリ商品(マジメ系ボッタクリ)の避け方が、具体例とともに説明されています。

私自身にも経験がありますが、投資に興味を持ち始めると、「もっといい投資法はないか」「もっといい商品がないか」と、様々な投資法や金融商品に目移りしがちです。

しかし、世の中には、「ぼったくり」と言いたくなるような商品が多く存在するため、「いかにボッタクリ商品を避け、着実に資産形成していくか」ということが重要になります。その際、投資初心者が陥りがちな罠について取り上げ、丁寧に解説を行なった本書はとても参考になると感じました。

まとめ

本書をおすすめしたいのは、これまで貯金しかしてこなかったような投資初心者の方です。本書を読むことで、インデックス投資の有効性、ボッタクリ投資の避け方を、ざっくりと知ることができます。

ただ、全体的に、投資初心者向けを意識しているためか、インデックス投資に関する細かい話は、あまり書かれていません。そのため、本書でインデックス投資に興味を持ち、なおかつ理屈っぽい話も知りたいと思った方は、他の本も読んでみることをおすすめします。


臆病者のための億万長者入門
橘玲(たちばな あきら)さんの『臆病者のための億万長者入門』(文藝春秋, 2014.5)を読みました。

概要

臆病者のための億万長者入門 / 橘玲.
東京 : 文藝春秋, 2014.5. 254p : 18cm.

著者の橘玲さんは、金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。小説の他にも投資や経済に関する著書を数多く執筆されている方です。

本書の目次は、次のとおりです。
  • はじめに 金融業界の不都合な真実をすべてのひとに
  • 第1章 資産運用を始める前に知っておきたい大切なこと
  • 第2章 「金融の常識」にダマされないために
  • 第3章 臆病者のための株式投資法
  • 第4章 為替の不思議を理解する
  • 第5章 「マイホーム」という不動産投資
  • 第6章 アベノミクスと日本の未来
  • 終章 ゆっくり考えることのできるひとだけが資産運用に成功する
  • あとがき 金融リテラシーの不自由なひとに感謝を

金融業界では、誰もが当たり前だと思っているけれど、不都合であるため、ほとんどの人が説明してこなかった「資産運用の常識」。本書は、そんな資産運用の常識をシンプルな論理で説明してくれます。

株式投資、為替、不動産投資といった資産運用全般に関わるテーマを取り上げ、リスク耐性が低く「臆病者の投資家」である個人投資家に対して、自分や家族の生活を守るための方法を指南する構成になっています。

あとがきのタイトルが、「金融リテラシーの不自由なひとに感謝を」となっていることからもわかるように、説明の語り口はややシニカル。クスリと笑ってしまうような文章が散りばめられています。


インデックス投資家におすすめなのが、第3章の「臆病者のための株式投資法」。

「レバレッジ」、「複利」、「複雑系」といったキーワードを挙げながら、株式投資やインデックス投資の有効性を説明しています。

特に、次の文章が印象に残っています。
「資本主義」とは、複利とレバレッジによってバランスシートを拡張していく運動のことなのだ。
(109ページから引用)
株式会社は、株主から集めた資本金に、銀行などからの借金(=レバレッジ)を加えた総資産を運用しているため、長期的に市場が成長していくのであれば、レバレッジをかけた分だけ有利である、という主張でした。

本書は、株式投資のほかにも
  • 「マイホームと賃貸、どちらが得か」といった議論
  • 金融商品としてみた「宝くじ」の罠(「愚か者に課せられた税金」という表現が印象的)
  • 為替の不思議
  • 年金問題
といったお金に関わる様々な常識を解説しています。

金融リテラシーを高めるためにも、時折読み返すことで、本書が取り上げている金融の常識を身につけていきたいと思います。

Book_Bank
橋本卓典さんの『捨てられる銀行2 悲産運用』(講談社, 2017.4)を読みました。

概要

捨てられる銀行2 非産運用 / 橋本卓典.
東京 : 講談社, 2017.4. 285p : 18cm.

著者の橋本卓典さんは、共同通信社経済部の記者で、『捨てられる銀行』(講談社, 2016.5)を執筆された方です。

本書の目次は、次のとおりです。
  • はじめに 「売られるあなた」
  • 第1章 動き出した資産運用改革
  • 第2章 ニッポンのヒサンな資産運用
  • 第3章 フィデューシャリー・デューティーとは何か
  • 第4章 年金制度の変化と資産運用改革
  • 第5章 改革の挑戦者から何を学ぶか
  • 終章 「売られないあなた」になるために
  • おわりに


前作の『捨てられる銀行』(講談社, 2016.5)では、森信親金融庁長官が進める改革のうち「企業・経済の持続的成長」を取り上げ、地域金融の問題について解説していました。本書では、もうひとつの改革方針である「安定的な資産形成」を取り上げています。

「悲産運用」とは?

金融資産の推移
(出典:金融庁「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」第1回・事務局説明資料より転載)

上記の図は、本書の冒頭で紹介されているものです。

金融庁がまとめた資料によれば、ほぼ同時期において、アメリカの家計金融資産は3.11倍、イギリスは2.27倍に増加した一方で、日本は1.47倍にしか増えていません。

こうした状況を踏まえ、橋本さんは、これまでの日本の資産運用は「資産運用に非らず」だったとして、「非産運用」という造語を本書のタイトルにされています。

非産で、悲惨でもあった日本の資産運用が、金融庁の改革でどのように変化しようとしているか、ということが本書の大きなテーマになっています。

資産運用改革のキーワード「フィデューシャリー・デューティー」

森信親金融庁長官による資産運用改革のキーワードが「フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary Duty)」です。第3章では、フィデューシャリー・デューティーについて、歴史的経緯や海外の事情を紹介しながら、解説が行われています。

これまで金融機関は、顧客との間にある情報量の差を利用し、金融機関にとって都合のいい商品を顧客に売りつける営業を行ってきました。

しかし、「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成」を最重要テーマに掲げる金融庁の改革では、フィデューシャリー・デューティー(真に顧客本位の業務運営)が重視されているため、金融機関の中には「フィデューシャリー・デューティー宣言」を公開するところも出てきているそうです。

「足るを知る」の哲学 巨大資産運用会社バンガード

第5章「改革の挑戦者から何を学ぶか」では、資産運用を取り巻く金融機関の改革として、国内外の事例が紹介されています。その中でも一番興味を持ったのが、資産運用会社バンガード(Vanguard)の事例です。

一部のインデックス投資家の間で、熱狂的な支持を受けるバンガード。本書では、創業者のジョン・C・ボーグルのエピソードやバンガードの企業姿勢が紹介されています。簡単にご紹介すると

  • 外部株主を持たない統治構造。バンガードの米国籍の各ファンドが運用残高に応じてバンガードの株式を所有している。
  • 世界初の個人投資家向けインデックスファンドを売り出した時、「ボーグルの愚行(Bogle's folly)」とさえ揶揄された。
  • 年に一度、「ボーグルヘッド・カンファレンス」というバンガード・ファンの個人投資家(ボーグルヘッド)を本社に招くイベントを開催。
  • 徹底したコスト管理。運用報告書を印刷する場合、外注よりも内製化した方が安いと判断したら、自社の印刷工場で印刷を行う。
  • 販売会社に対して、手数料をキックバックしないという世界的な方針を持っている。

私自身は、バンガードのファンドを保有していません。しかし、本書に書かれたエピソードを読むと、多くのインデックス投資家が、バンガードを支持する理由がわかりました。

まとめ

本書は、日本の悲惨な資産運用の実態を概観した上で、森信親金融庁長官の改革によって、「資産運用の現場がどのように変化しようとしているか」について、解説を行っています。

投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016」にメッセージを出したことから、インデックス投資家の間でも話題に挙がることが多い森信親金融庁長官。本書は、森信親金融庁長官が推し進める資産運用改革を知るためにも、また日本の資産運用の実態を知るためにも欠かすことができない一冊だと思います。


3000円投資生活

横山光昭さんの『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム, 2016.7)を読みました。

概要

はじめての人のための3000円投資生活 / 横山光昭.
東京 : アスコム, 2016.7. 223p : 18cm.

著者の横山光昭さんは、家計再生コンサルタントとして、貯金法などのマネー本を数多く出されています。本書では、投資初心者向けに少額から始める積立投資について、書かれています。

本書の目次は、次のとおりです。
  • Part 1 さあ、3000円投資生活を始めよう
  • Part 2 3000円投資生活なら「貯金感覚」でコツコツ増える
  • Part 3 1万人の家計を見てきてわかった「投資の分かれ道」
  • Part 4 絶対にやってはいけない、投資とお金の使い方

本の奥付を見ると、なんと26刷でした。20回以上、刷り増しされたことを考えると、本書の売れ行きは好調のようです。

本書の概要を簡単にご紹介します。

「貯金+投資」で、将来に備える

本書の中で、横山さんがすすめている投資法は、非常にシンプルなものです。
月々3000円で投資をスタートし、バランス型の投資信託を買う
(17ページより引用)

「3000円」という金額は、横山さんがこれまでの経験をもとに考えた金額とのこと。
  • 始めて投資をする方が、おそらくあまり怖さを感じずに投資にまわせる金額
  • 貯金をしながら投資をスタートさせるのに、ちょうどいい金額
(19-20ページより)
確かに、3000円程度の金額であれば、無理なく投資を始めることができそうです。本書では「3000円投資生活」というキーワードで、貯金積立投資を組み合わせた資産形成法が、わかりやすい言葉で解説されています。

「遠くの100万円」ではなく、「近くの1000円」を目指す

本書の中で、一番心に残った文章が次のものです。
これから3000円投資生活を始めようというみなさんは、決して大もうけは狙わないでください。「遠くの100万円」ではなく、あくまでも「近くの1000円」を目指しましょう。
(115ページより引用)
私が実践しているインデックス投資は、どちらかというと地味な投資法です。相場の上げ下げに乗じて大儲けを狙うというよりは、資本主義経済の成長に従って、ゆっくりと資産を増やしていく投資法だからです。

投資を始めると「老後までに数千万貯めたい」といったように、つい目標を高く設定してしまいがちです。しかし、まずは「1000円を増やす喜び」を知った上で、地道に資産形成を続けていくことが大切だと、改めて感じました。

まとめ

本書は、わかりやすい文章で、積立投資やお金の管理法について解説が行われています。また、文字や行間が大きめなので、サクサクと読み進めることができます。

本書には基本的なことしか書かれていないので、「インデックス投資を行っている人」や「似たようなマネー本を読んだことがある人」にとっては、得られる情報はあまり多くありません。

しかし、投資初心者の方にとっては、投資を始めるきっかけとなる一冊だと思います。「3000円投資生活」を通して、「1000円を増やす喜び」を知ってみませんか。


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『週刊エコノミスト』(2017年5月30日号)の特集記事「今から始める長期投資」で、インデックス投資が取り上げられていました。

特集記事の内容は、次のとおりです。
  • 積立NISAで広がるか 積立投資による長期運用 / 井出真吾, 花谷美枝, 荒木宏香
  • インタビュー 積立NISAの狙い / 米澤康博
  • 積立NISA対象投信予想
  • Q&A インデックス投資の基礎知識 / 深野康彦
  • 目論見書のポイント
  • 魅惑のハイリスクハイリターン1 : 恐怖指数 下落局面でもうけるETF / 大山弘子
  • 資産配分 成果の9割を決める資産配分 / 吉井崇裕, 編集部
  • 税優遇 老後資金には確定拠出年金 / 高橋忠寛
  • 意外と知らない インデックス大解説 / 市川雅浩
  • 魅惑のハイリスクハイリターン2 : レバレッジ短期で2倍のパフォーマンス / 田茂井治
  • インデックス投信シリーズ 信託報酬の引き下げ競争 / 篠田尚子
  • 魅惑のハイリスクハイリターン3 : アクティブ投信 運用成績の定期的確認が必須 / 編集部

まとめ

特に印象に残ったのは冒頭のインタビュー記事。金融庁の「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」で、座長を務めた米澤康博さんが、積立NISAに適する投信にインデックスファンドが多く残った理由、GPIFと個人投資家の運用などについて語っています。

一部、アクティブ投信に配慮したと思われる部分はありましたが、特集記事の内容は「インデックスの解説」から「最近の信託報酬の引き下げ競争」まで、インデックス投資について、バランス良く学べる内容になっていたと思います。

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