Good_idea
アイデアのつくり方』(ジェームス・W・ヤング著)を再読しました。本書は、発想法のバイブルだとあらためて感じました。

概要

アイデアのつくり方 / ジェームス・W・ヤング. ; 今井茂雄訳.
東京 : 阪急コミュニケーションズ, 1988.4. 102p : 18cm.
原題: A Technique for Producing Ideas.

本書は、アメリカ最大の広告代理店ジェイ・ウォルター・トンプソンの重鎮であったジェームス・W・ヤング(Young, James Webb)が、アイデアのつくり方を指南した本で、1940年に出版されて以来、特に広告業界で、名著とされてきた一冊です。

本書の目次は、次のとおり。
  • まえがき
  • この考察をはじめたいきさつ
  • 経験による公式
  • パレートの学説
  • 心を訓練すること
  • 既存の要素を組み合わせること
  • アイデアは新しい組み合わせである
  • 心の消化過程
  • つねにそれを考えていること
  • 最後の段階
  • 二、三の追記

シカゴ大学のビジネス・スクールで行なった講義がもとになっており、シンプルな5つのステップで、アイデアを産み出す秘訣を明らかにしています。

なぜ再読しようと思ったか?

今年から本業とは別に、社外の仕事を兼務することになりました。

兼務している仕事は、企画を考えることが主な仕事。まだ業務に慣れていないため、毎回、大変な思いをしながら、企画会議に臨んでいます。

そこで、少しでも企画づくりの参考になればと考えたことが、再読の理由です。

アイデアのつくり方:「二大原理」と「5つのステップ」

どんな技術を習得する場合にも、学ぶべき大切なことはまず第一に原理であり第二に方法である。これはアイデアを作りだす技術についても同じことである。
(25ページから引用)

二大原理

ヤングは、アイデア作成の基礎として、次の2つの原理を挙げています。

  1. アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ
  2. 既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存する

「アイデアが降ってくる」という表現があるように、素晴らしい発想をひらめく瞬間は「神秘的なもの」として捉えられがちです。

しかし、ヤングは、この二大原理を理解した上で、次の5つのステップをたどれば、アイデアをつくり出す能力は身につけられる、と述べています。

5つのステップ

次に、アイデアを産み出すための5つのステップをご紹介します。

  1. 資料を収集する
  2. 資料を咀嚼する(資料をさまざまな観点から検討する、部分的なアイデアを書き留める)
  3. 問題を放棄する(問題を意識の外に出し、想像力や感情を刺激するものに、意識を移す)
  4. アイデアの誕生
  5. アイデアを磨く(現実的な条件に照らし合わせて、具体化させる)

それぞれのステップの関連性を理解し、順番にたどっていくことが、アイデアをつくり出すための鍵のようです。

特に、重要視されていたステップが、「資料を収集する」ステップ。「特殊資料」と「一般的資料」というキーワードで、資料収集のコツが説明されています。

「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」という原理を考えると、もととなる要素を数多く持つことが必要なようです。自分の中の引き出しを増やすためには、普段からの情報収集が大切だと感じました。

本書のもう一つの魅力、竹内均さんによる解説

本書のもう一つの魅力が、地球物理学者の竹内均さんによる解説です。

この本のページ数は、102ページと薄いのですが、ヤングによる文章は約40ページ程度。残りの約半分のページが、竹内さんの解説です。

ヤングの「アイデアのつくり方」が、広告業界だけでなく、自然科学分野などの他の分野にも適用可能であることを、ご自身の経験をもとに、解説しています。

まとめ

本書をおすすめしたいのは、企画づくりに悩んでいる方です。

訳文がやや古めかしいため、少し読みにくいのが難点ですが、短い時間で、アイデアを産み出すための、基本原理と方法論を学ぶことができます。読み終わったとき、きっと何かしらのヒントが得られるはずです。

ぜひともおすすめしたい一冊です。

アイデアのつくり方
ジェームス W.ヤング
CCCメディアハウス
1988-04-08