インデックス投資で長期航海

インデックス投資を中心とした投資ブログ。30代の会社員が資産形成、お金、教育について語ります。

竹川美奈子さんの『臆病な人でもうまくいく投資法 : お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話』を読みました。

概要

臆病な人でもうまくいく投資法 : お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話 / 竹川美奈子.
東京 : プレジデント社, 2016.3.  237p : 19cm.

著者の竹川美奈子さんは、ファイナンシャル・ジャーナリストとして活躍されている方で、多くの著書を出されています。

本書の目次は、次のとおりです。

  • 第1章 投資信託を使った積み立て投資はなぜ、最適の資産形成法なのか?
  • 第2章 低コストのインデックスファンドを組み合わせて、世界に丸ごと分散投資する方法
  • 第3章 たった1本保有するだけで、簡単&手軽に国際分散投資ができるバランス型投信の活用法
  • 第4章 「非課税」という武器を最大限に生かす確定拠出年金を使った投資法
  • 第5章 自分が応援したい会社や事業を投資家という立場で、サポートし、長期的なリターンを得る方法
  • 第6章 コツコツ投資を始める前に押さえておきたい7つのこと


「コツコツ投資家」11人から学ぶお金の本

本書は、投資信託などを活用し、長期でじっくり資産形成に取り組む「コツコツ投資家」11人を紹介した本で、彼・彼女たちの事例を通して、お金との付き合い方増やし方を学ぶことができる本になっています。

これまで、「ウォーレン・バフェットなどの著名な投資家たちを紹介した本」や「投資で成功した本人が書いた本」などは、数多く出版されていますが、ごく普通の個人投資家たち(例えば、会社の同僚やお隣さんのような人たち)を紹介した本というのは、とても珍しいように思います。

この本に登場する11人の「コツコツ投資家」たちは、簡単なプロフィールとともに

  • どういったきっかけで、投資を始めることになったのか
  • どういった情報源(本やブログなど)を参考にしたのか
  • どういった資産配分で投資を行い、どういった商品を積み立てているのか
  • 投資を実践するなかで、どういったことを感じたのか

などが、彼・彼女たちの言葉を通して、紹介されています。

11人それぞれが実践する投資法は、「長期でじっくり資産形成に取り組む」という大方針は共通しているものの

  • 低コストのインデックスファンドを組み合わせている人
  • バランス型投信を中心に投資を行っている人
  • 確定拠出年金を使っている人
  • コツコツ投資の基本形を守った上で、個別銘柄やアクティブファンドにも投資を行っている人

といったように様々です。

年齢や職業などのプロフィールに加え、投資に対する取り組み方を参考にすれば、自分に近いと思えるコツコツ投資家を見つけられると思います。

似た境遇の方には共感し、異なる境遇の方からは新たな知見を得られるという楽しみ方が、この本にはありました。(普段、投信ブロガーの方の記事を読んでいる時と同じ楽しみです。実際、投信ブロガーの方も紹介されていました)


まとめ

本書は、はじめに投資信託を使ったコツコツ投資の基礎知識を解説した上で、11人の事例紹介で出てくるキーワードについても補足説明を行っています。また、最終章では、コツコツ投資を始める人が知っておきたい疑問点について、Q&A方式で解説していますので、投資初心者でも簡単に読み進めることができます。

本書を読めば、投資は決して「特別な人たち」だけが行っているものではなく、「ごく普通の私たち」も実践できるものであると実感できるのではないでしょうか。

ニッセイアセットマネジメントから「ベンチマークと運用実績の乖離について」と題する臨時レポートが出されました。

臨時レポートが出されたきっかけは?

事の発端は、先日のアメリカ大統領選挙でした。

選挙結果が判明した11月9日の東京市場には、大きな混乱(いわゆるトランプショック)が発生したものの、翌日には為替、株式市場ともに大きく値を戻す展開となりました。

しかしながら、11月10日のニッセイ外国株式インデックスの基準価額の騰落率を見ると、同じアセットクラスのたわらノーロード先進国株式外国株式インデックスeに比べて、低い上昇にとどまったため、ブログやtwitter上で、何かあったのではないかと話題になっていました。

ニッセイ外国株、1日で0.28%の信託財産を失う | 40代でアーリーリタイアしたおっさんがたわら先進国株でベンツを買うブログ

ニッセイ外国株式インデックスファンドの不審な挙動 | 投信で手堅くlay-up!

【トラッキングエラー】ニッセイ外国株式インデックスファンドが「安物買いの銭失いファンド」だった | 一方通行投資で気楽に資産形成。

トラッキングエラー多発のニッセイ外国株式インデックスファンドは信頼できるのか? | 81年生まれが投資による資産運用を真剣に考える

ベンチマークとの乖離の理由

今回の臨時レポートによれば、ベンチマークであるMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)と運用実績の乖離が起きた原因は、

当ファンドでは大きな資金流入にあたっては、ファンドに与える影響を抑制すべく、前営業日に必要な取引を行うことで乖離を抑制しています。(中略)11月10日マザーファンドに大きな資金流入が見込まれたため、これまでと同様、ベンチマークとの連動率を高めるべく、必要な為替取引を9日にTTMに合わせて実施しました。しかしながら、米国大統領選挙の開票につれ、大きく円高が進行したことで、TTMが日中に変更されたため、結果としてベンチマークと運用実績の乖離が発生することとなりました。
(2016年11月15日更新臨時レポートより引用)

とのことです。

他にもブログやtwitter上では、ニッセイ外国株式インデックスファンドのマザーファンド規模の小ささを指摘する意見も見受けられます。

ニッセイアセットマネジメントへの期待

今回のように、市場が乱高下する際、ベンチマークと運用実績が乖離することは、もちろん望ましいことではありませんが、短期間の比較では、ファンドを乗り換えるかどうかについての判断はできません。もう少し長い間、動きを注視してみたいと考えています。今後は、より安定した運用が行われることを望みます。

また、ブログなどでの騒ぎがどれくらい影響があったのかはわかりませんが、受益者の不安に対応するかのように、臨時レポートで公式発表を行ったニッセイアセットマネジメントの姿勢は、評価したいと思いました。今後も積極的な情報発信を期待しています。

cashbox-1642988_640
昨日(11/9)に11月分の定期積立として、以下の3本を購入しました。(「国内債券」とみなしている普通預金は、後日別途、積立を行います)

  • <購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド
  • <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
  • 野村インデックスファンド・新興国株式

「国内株式」と「先進国株式」は、信託報酬の引き下げが発表された<購入・換金手数料なし>シリーズのインデックスファンドを購入しています。

関連記事:<購入・換金手数料なし>シリーズ7商品の信託報酬が引下げ!!

さて、皆様ご存知のとおり、大方の予想を裏切って、ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選に勝利しました。トランプ氏の勝利をきっかけに、市場は混乱し、「トランプショック」の様相を呈しました。

11月9日の日経平均の終値は前日比919円(-5.4%)安の1万6251円に、円相場は一時101円代前半の高値をつけました。しかしながら、一夜明けた本日の日経平均は、大幅反発し、午前終値で、前日比927円(5.7%)高の1万7178円にまで回復しています。ひとまずトランプショックから落ち着きを取り戻したようですが、マーケットの予想なんて当てにならないものですね・・・

イギリスのEU離脱の時もそうでしたが、マーケットの予測は困難で、最大瞬間風速的に株価が急落(または急騰)することがあります。だからこそ、リスク許容度をしっかりを見極め、コツコツと積立投資を継続しつつ、相場の急落時にはスポット投資を行っていきたいと思います。

先週に引き続き、投資マンガ『インベスターZ』で、本多静六の『私の財産告白』が取り上げられていました。

【参考】今週の『インベスターZ』で、本多静六の『私の財産告白』が紹介

私の財産告白 / 本多静六.
東京 : 実業之日本社, 2005.7. 213p : 19cm.


私の財産告白
本多 静六
実業之日本社
2005-07-10


今回のエピソードで、キーワードのひとつになっていた本多式「四分の一貯金法」をご紹介したいと思います。

本多式「四分の一貯金法」とは?

本多静六は、明治から昭和にかけて活躍した林学者。日比谷公園などの設計・改良に携わり、「公園の父」として知られています。

林学や造園学分野での活躍に加え、倹約で貯めたお金を投資し、莫大な資産を築いた投資家としても著名な人物です。

そんな本多静六が実践した貯金法が、「四分の一貯金法」でした。

貯金法の考え方を方程式にすると

貯金 = 通常収入 × 1/4 + 臨時収入 × 1/1

通常収入: 給料などの月々の決まった収入、利子
臨時収入: 著作収入、賞与、旅費残額などの臨時的な収入

つまり、「給料などの通常収入は四分の一を天引きで貯金し、賞与などの臨時収入は全額貯金する」という貯金法です。

元々、本多静六は、幼少期から貧乏生活を送っていました。ある時、「生活の独立」「精神の独立」を得るため、貧乏生活から抜け出そうと決意します。

貧乏を征服するには、まず貧乏をこちらから進んでやっつけなければならぬと考えた。貧乏に強いられてやむを得ず生活をつめるのではなく、自発的、積極的に勤勉貯蓄をつとめて、逆に貧乏を圧倒するのでなければならぬと考えた。
(22-23ページより引用)

ただでさえ、生活にゆとりがない中で、通常収入の四分の一を天引き貯金するのですから、最初のうちは大変な苦労だったようです。

しかし、次第に、貯金の利子や配当といった収入が増え、40歳の頃には、大学から貰う給料よりも多い副収入を得ていました

ブレンターノ先生の教え

本多静六が、勤勉貯蓄に励んだ背景には、ドイツ留学時代の恩師ブレンターノ(Lujo Brentano, 1844-1931)の教えがありました。

ブレンターノ先生から言われた言葉として、本多は次の言葉を紹介しています。

財産を作ることの根幹は、やはり勤勉貯蓄だ。これなしには、どんなに小さくとも、財産と名のつくほどのものはこしらえられない。さて、その貯金がある程度の額に達したら、他の有利な事業に投資するがよい。(中略)現にドイツの富豪貴族の多くは、決して勤勉貯蓄ばかりでその富を得たものではない。こうした投資法によって国家社会の発展の大勢を利用したものである
(29-30ページより引用)

本多は、ブレンターノ先生からの助言に従い、「四分の一貯金法」で貯めたお金を、鉄道株や山林などに投資しました。その結果、莫大な資産を築くことができたのです。

「仕組みづくり」と「本業による収入」が重要

本多静六が実践した「四分の一貯金法」は、資産を築くために必要な「雪だるまの芯」を作る方法です。「雪だるまの芯」を作るための仕組みづくりは大変かもしれませんが、仕組みさえできてしまえば、後はゆっくりと資産を大きくしていくことができます。そのため、最初のうちに、しっかりとした仕組みを作っておくことが重要です。

また、もうひとつ重要なことは、「四分の一貯金法」の実践には、本業による収入が欠かせない、ということ。はじめから大きな資産を持っていない限り、月々の通常収入は貴重な収入源です。まずは、本業からの収入で、ある程度の資産を貯めていき、次第に配当などの副収入の割合を高めていくことが重要です。

survey-1594962_640
2016年11月1日(火)から始まった「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016」に投票しました。

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016」とは

投資信託について一般投資家の目線でつねに考え、情報を集め、ブログを書いている投信ブロガーたち。投資信託の事情通である彼らが支持する投資信託はどれか?

証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」というイベントです。


(公式サイトより引用)

今回は、10回目という記念すべき年になっています。

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」は、私が投資ブログを始めるきっかけにもなったイベントです。投票締め切りまで、まだ1ヶ月程残っていますが、先程、初投票を済ませました。

私のような弱小投資家であっても、投票によって、意思を表明できる本イベントは、貴重な機会です。少しでも多くの個人投資家が参加することで、日本の投資環境が少しでも良くなることを望んでいます。

結果発表は、来年の1月に、都内で開催されるイベントで発表される予定とのこと。11月30日(水)まで、投票を行うことができますので、まだ投票がお済みでない方は、投票を検討されてみてはいかがでしょうか。

↑このページのトップヘ